忍者ブログ
ひとりあそび日記
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

 電車に乗ってたら、すっごく横に広がってるおばさんが目の前に座った。

 ありとあらゆるパーツが横に広がってる。口が、目がほほの肉が、顔から横へ向かってはみ出しそうだ。苔色のセーターについた毛玉の水玉が横へ横へと羅列している。最大限横にのびきったスカートの皺は限界の向こう側をさらにめざしている。おばさんにまつわる全てものが横広がり現象の一助をなしているのだ。おばさんがおばさんの領域を越えて、空間にじわじわ滲みでている錯覚に陥り、思わず目を凝らしてみたほどだ。さらに、かかえた荷物を両サイドに置くという演出が加わり、狭い座席は横に広がったおばさんと3人の窮屈が織り成す小さな奇跡の図になっていた。
 
 そもそも横広がりおばさんが座ろうとした瞬間、おばさんが座ることで生じる圧迫をた易く想像できたためだろう、反射的に隣の男性が席を立った。一度立ったその男性を制して、おばさんはまだ腰掛けていたもう一方の人に対して「あなたおつめになって」「ここは4人掛けなんですから、4人で座ればよいのだから」とたたみかけ、横にずらし、男性を再び座らせた。しかしおばさんの横への干渉に耐えかね、次の駅でそそくさと男性は降りていった。その後果敢にもその隙間にすべりこんだ小型の女性は座った瞬間、横おばさんの攻撃を受けた。「ちょっとあなた髪の毛がわたくしにかかっておりますのよ」「まわりの迷惑をお考えになったらいかがです」

 横だ、それにしても横すぎる。口調は丁寧だがすこぶる横柄。こんな見事な横っぷりをキミはいまだかつて体験したか。恐るべき横への広がり。というか膨張そのものなのではないか。光も音も遠ざかるほどに力を弱める。引力に逆らっている、というよりもこれは、楕円の軌道の発見の瞬間なのではないか。ニュートンというよりもケプラーなんじゃねえの、時代がパラレルしてるかー。すげー宇宙。宇宙の神秘。おばちゃんが宇宙曼荼羅にみえてきた。おばちゃんの毛玉のひとつひとつが太陽系惑星にあてはまってきた。スイキンチカモクドッテン。。。今ナンだっけ??、と心の中で横膨張おばちゃんに妄想問いかけしまくってたら、注意された。指をさされて注意された。

 してもいないしゃっくりが止まる思いだった。

 わたしは両肩を上にあげてアメリカのコミックスの登場人物みたくおどけてみせた。
 それが横への抵抗。せいいっぱいの。


Pato Fu

PR
COMMENT
NAME
TITLE
MAIL
URL
COMMENT
PASSWORD :
───────────
コメント編集時に使用
TRACKBACK
TRACKBACK URL > 
PREV       NEXT
カレンダー
04 2025/05 06
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
最新コメント
[12/03 もにか]
[12/03 うらら〜]
[11/29 Kiku]
[11/28 たんこ]
[10/15 ねこわに]
ブログ内検索
カウンター
忍者ブログ [PR]
"Nekorodile" WROTE ALL ARTICLES.
PRODUCED BY SHINOBI.JP
SAMURAI FACTORY INC.