富士登山

昨日から縄跳びを始めた。

最近の縄跳びってこんな。


私の部屋は二階だけれど、柵を越えると広めのベランダ的空間があるので、夜中でも安心して飛べる。跳べる。


跳んでみる。


夜の静寂を高性能縄跳びが切り裂く。思いの外音が響いて聞こえるのは自意識過剰だろうか。

まあ初日は100回くらいで、と思っていたが、
これが、
跳べない。

20回がせいぜいなのだ。

小学生女子のマストアイテム縄跳び。20分休みは必ず縄跳びに明け暮れていた。アヤトビ、ハヤブサ、二重跳び。

きっと長さのせいね。
縄跳びを短く調節して再び跳んでみる。

ぺしっ
ぺしっ
縄跳びの弧が頂点に達する前に、ちょんまげにした髪の毛にジャストミートだ。

ぺしっ
地面に当たり
ぺしっ
髷に当たる
また跳べない。

髪を後ろに結び直し、さっきよりは縄を長くしてやり直し。

また跳べない。

なんだ
なにがいけないんだ？

サンダルの間に縄が入るので裸足になる。

近くの窓がいくつも開く。
向かいの家のベランダに意味もなく夫婦が出てくる。

夜中に始まった謎の切り裂き音を確かめるために。

しかしこちらは暗闇の中。
見えますまい。

願わくはベランダ続きの隣人がカーテンをあけずにいてくれますように。

そしてようやく気づいた。
跳躍の仕方が間違っていた。

ずっとステップを踏んでいたが、違ったのだ。
脚は揃えて跳躍だ。

すぐに100回できた。


その後、縄跳びのやり方をすっかり忘れていたことや、ちょんまげに縄跳びの軌跡がジャストミートしたことを電話した友だちに話すもかなりの温度差。

大人はわかってくれない。

それでも
いつかわかってくれれば、それでいいよ。
信じることに重きをおいて、私は跳ぶよ。
悪がいつか削がれることを信じて。
腹の肉という悪が。



※経過※

毎日跳ぶはずが雨のため断念。
また悪がまとわりつく。